独立・副業の
手引き
フリーランスとして独立、副業を始める方が気になる情報をまるっと解説。
デビュー前に知っておきたい個人事業主と法人成りの違いと手続き、仕事獲得、確定申告、
おさえておくべき制度など、安心・快適なフリーランスライフの参考にしてください。
フリーランスとして独立、副業を始める方が気になる情報をまるっと解説。
デビュー前に知っておきたい個人事業主と法人成りの違いと手続き、仕事獲得、確定申告、
おさえておくべき制度など、安心・快適なフリーランスライフの参考にしてください。
フリーランスの定義は、「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」です。
「雇用ではなく、業務委託・自営で働く人」、そして「会社の看板ではなく、自分の名前で働く人」とも言えます。
2020年春時点で、国内に462万人本業214万人/副業248万人
*のフリーランスがいるとされていました。コロナ禍のリモートワークで時間や場所にとらわれない働き方が推進され、可処分時間も増えた結果、現在ではその数はもっと増加していると考えられています。
ITの進展により独立・開業・副業のハードルは大幅に下がり、スマホ一台あればあらゆる職種で仕事を請け負うことが可能になっているため、職種も多様化しています。
仕事との関わり方も多様化しています。いわゆる従来のアウトソーシング的なタスク型の仕事から、 プロジェクトマネジメントを含め、より中長期的に主体性を持って携わるプロジェクト型、 クライアント組織のインサイダーとして一定の役割を担うミッション型の仕事まで、フリーランスの活躍の幅は拡がっています。
どのような関わり方をするにしろ、フリーランスと取引先との契約は、通称「業務委託契約」と呼ばれます。業務委託契約は、 法律上は「請負契約」または「準委任契約」のいずれかに分類され、受託する内容や受託者の義務に違いがあります。
契約の 種類 |
内容 |
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請負契約 |
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準委任契約 |
|
参考:雇用契約 |
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フリーランスとして食べていくには、専門スキルと間接スキルの両方が必要です。 専門スキルは、特定の職域に関する専門知識やスキルです。環境変化や技術革新に合わせてアップデートし続けることが、 長く活躍を続けるためには欠かせません。 間接スキルは対価をもらうための基盤となるスキルで、いわゆるアドミニストレーションスキルやヒューマンスキルを指します。 フリーランスは一人経営者でもあるので、間接スキルを身につけることが身を守り、事業を成長するために大切になってきます。
「フリーランス白書2023」では、過去一年以内に仕事獲得につながった実績のある経路は「人脈」(70.6%)、 「過去・現在の取引先」(64.7%)、「自分自身の広告宣伝活動(Web、SNSなど)」(31.6%)といった回答が上位を占めました。 人とのつながりを大事にして、自分のやりたいことや得意なことを日頃から折に触れて発信することは大切です。
一方、最近ではマッチングサービスの利用も増えています。同じ調査では、25.8%が「エージェントサービス」、18.8%が「クラウドソーシング」を利用したと回答しています。既に人とのつながりで十分な仕事を得ているという人も、たまにこうしたサービスを覗いてみることで、世の中のニーズや自分の市場価値(適正単価)を測ることができ、キャリアの幅を広げるきっかけが生まれるかもしれません。
独立開業する時、副業を始める時に、気になることの1つが確定申告です。なんとなく難しい、 煩雑なイメージがあるかもしれませんが、最近はフリーランスの税務サポートをしてくれるツールやサービスが沢山あるので、 基本さえ押さえてしまえば、決して大変なことではありません。
昔は白色申告は帳簿付けが不要だったため白色申告を選ぶ理由もありましたが、平成26年から白色申告でも帳簿付けが義務化されました。 さらにクラウド会計サービス等の登場により帳簿付けの労力が大幅に削減されたため、どうせなら65万円控除の青色申告を選択するの が断然オススメです。また、青色申告には、赤字を3年間繰り越せたり、家賃や電話代など仕事に係る部分を按分して経費化できたり、 様々なメリットもあります。ただし、青色申告をするには、前年の3月15日までに、開業届と青色申告の承認申請書を税務署へ 提出しておくことが必須ですので留意してください。
確定申告は、期限の直前になってまとめて作業しようと思うと、一年前の記憶を思い出すのに時間がかかったりして実は効率がよくありません。 日頃から工夫しておくことで、直前で焦ったり不安になったりすることを防げます。
第一に、取引や経費は発生する度に記帳することです。そんなこまめにできないと思う方も、事業用の銀行口座と クレジットカードを用意しておけば簡単。クラウド会計サービスに連携すれば、口座への売上入金や、銀行振込による経費支払、 クレジットカードによる経費支払は自動的に記帳されます。また、請求書発行時に売上が自動記帳されたり、 領収書を写真で撮ると自動入力してくれたりする機能もあるので、こまめに登録しておきましょう。
第二に、できれば月次、もしくは四半期ごとに決算をし、入力漏れやミスがないかをチェックすることです。決算は、売上、経費、 利益を総合的に可視化してくれるので、自分自身の事業の振り返りにも役立ちます。
フリーランスは労働者ではなく事業者なので、取引先とは対等なパートナー関係にあります。しかし残念ながら、取引先との関係において弱い立場を強いられ、トラブルになってしまうケースもあります。 自分の身は自分で守る。これがフリーランスの鉄則になりますので、大切なポイントは押さえておきましょう。
取引開始前に契約条件を擦り合わせ、合意の証拠を残しておくことは、とても重要です。契約書を交わすのが最も安心ですが、発注書や覚書でも証拠にはなり得ます。どうしても難しい場合は、取引条件を明記した確認メールを発注者に送り、了承の返信をもらうようにしましょう。
詳細を詰めておかないとトラブルになる可能性もあるため、少なくとも下記項目については必ず契約時に双方で確認、合意しておきましょう。
項目 | 具体例 |
---|---|
契約形態 | 請負契約、準委契約、成果報酬の有無など |
業務内容・成果物 | 背景課題、目標や期待値、遂行する業務の内容と範囲、成果物(納品物) |
スケジュール | 全体スケジュール/納期/契約期間 |
稼働ボリューム | 稼働工数/稼働可能な時間帯 |
稼働スタイル | 稼働場所/コミュニケーションの手段と頻度 |
報酬 | 報酬金額/交通費その他経費の扱い/支払サイクル |
守秘義務の認識 | 業務実績としての公表可否 |
著作権の帰属 | 発注者、受注者どちらに帰属するのか |
口頭のみによる発注や、曖昧な形での取引条件提示は、競争政策上望ましくない行為として独占禁止法で問題になりえます。また、資本金が1千万円を超える発注主は、下請法による契約条件の書面交付義務があるため、違反すると50万円以下の罰金が課せられます。
2024年秋からは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行され、資本金に関係なくすべての発注事業者(個人事業主含む)に契約条件の明示義務が課されます。また、法人発注者に対しては、業務完了後60日以内の支払い義務や、一方的な減額や受領拒否の禁止、中途解約の1か月前事前予告義務などの規制がかかる予定です。
どれだけ気を付けていても、契約トラブルに巻き込まれることはあります。そんなときは専門家に相談しましょう。
公的相談窓口「フリーランス・トラブル110番」では、契約、ハラスメント、報酬未払いなど様々なトラブルについて、相談から解決まで弁護士がワンストップでサポートします。相談は無料で、匿名でもOKですので、まずはお気軽にご相談ください。
報酬の未払い、支払遅延、一方的な減額などの報酬トラブルに備えるには、報酬トラブル弁護士費用保険『フリーガル』があります。フリーランス・トラブル110番などで無料相談した結果、内容証明送付や訴訟提起など具体的な紛争解決アクションが必要となった場合にかかる弁護士費用が保険金として支払われます。フリーランス協会のベネフィットプランとして全ての一般会員に自動付帯されるので、追加申込みや保険料は不要です。
その他にも、フリーランス協会のベネフィットプランには様々な法務支援サービスがありますし、東京弁護士会中小企業法律支援センターでも初回30分の相談に無料で対応してもらえます。
業務形態によって、適用法と社会保険制度が異なります。
文化芸術活動に関係して生じる問題やトラブル、「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」に関する質問等について、専門的な知識・経験を有する弁護士が相談に対応します。
提供:文化庁
独立するにあたって、開業届を出して個人事業主になるか、会社設立をして法人化(法人成り)するかは迷いどころです。 個人事業主と法人では、開業・設立コスト、税金、信用力、社会保険などにおいて違いがありますが、一概にどちらが良いとは言えません。 一般的に、所得が700万~1000万円を超えたら法人化すると良いと言われていますが、状況や何を優先順位とするかは人によりますし、 アドバイスする税理士によっても考え方や意見が異なる場合もあります。
なお、個人で事業を開始するにあたって、開業届の提出は所得税法第229条で【義務】付けられています。この義務に罰則はないので、開業届を出さずに活動していてもペナルティはありません。しかし、公に「個人事業主」や「事業者」と認められるのは、開業届を出している方のみになりますのでご留意ください。
また、年間所得が48万円(副業の場合は20万円)を超えると確定申告が必要なので、開業届と青色申告申請書を提出して青色申告にした方が、節税効果は期待できます。開業届はA4 1枚の簡単な書類で、売上見込みが立たない準備段階でも提出できます。開業届を提出して個人事業主になっても、売上が立たない限り納税は発生しませんので、そのうち売上が上がるようになった時の節税対策として、思い立った時点で提出しておくのがオススメです。
事業内容や屋号など、開業届の内容を変更する場合は、原則として届出の必要はありません。ただし、納税地の異動等があった場合は、届出が必要です。
個人事業主
法人
個人事業主 | 法人 | |
---|---|---|
開業届・設立 手続き |
開業届の提出(0円) | 定款作成・認証、登記申請(6〜25万円) |
事業の廃止 | 届け出の提出(0円) | 解散登記、公告等が必要(数万円かかる) |
税金 | 経費に認められる範囲が狭い | 経費に認められる範囲が広い(経営者自身への給与や保険料等)。赤字でも法人税の均等負担が7万円必要 |
赤字の繰越 | 3年(青色申告の場合) | 9年 |
信用 | 比較的低い | 比較的高い |
会計・経理 | 個人の確定申告 | 法人決算書・申告(税理士が必要なケースが多い) |
生命保険 | 所得控除 | 全額経費 |
社会保険 (従業員分含む) |
会社負担なし、全額自己負担(5人未満の場合) | 会社負担あり(会社負担分は経費扱い) |
まずは情報収集!フリーランス協会に集まった多種多様な会員の声やデータをもとに作成した、これから独立・副業を検討される方向けの入門ガイドです。
キャリアコンサルタント/カウンセラーの資格を持ち、フリーランス協会の養成講座を修了した「フリーランス&パラレルキャリア支援アドバイザー」にオンライン(または対面)で個別相談ができます。独立・副業の検討時だけでなく、フリーランスとしてのキャリアステップや方向性に迷った際に、ぜひご活用ください。 フリーランス協会の一般会員はベネフィットプランの一環で、毎年1回、格安でキャリアカウンセリングが受けられるキャリアドック制度もあります。